インテリアデザインのプロに聞く、2017年トレンドのキーワード
今年、人気を集めるスタイルやテイスト、注目のアイテムやデザイナー。インテリアのプロが予測する、トレンドキーワードをご紹介します。
田村敦子|Atsuko Tamura
2017年1月20日
Freelance Editor
2017年、どんなインテリアトレンドが話題を集めるのでしょう。この記事では、インテリアデザインの第一線で活躍する3人のプロに、それぞれの視点から今を象徴するキーワードを挙げて、注目のディテールや事象を解説していただきました。挙がった数々の旬のアイテムやテイストの中で、みなさんの住まいに取り入れたいもの、注目したいものは見つかるでしょうか?
住宅のようなオフィス、倉庫のようなリビング
プロダクトデザインやショップのプロデュース、インテリアデザインの現場で長く活躍する、〈コンテンポラリー・マーケット〉主宰のヒジュン・カスヤさん。Houzzコントリビューターとして記事の執筆も手がけるヒジュンさんは、人気続行中のインダストリアルスタイルが単なる一時的流行ではないことの理由と、このスタイルの本質をこう分析してくれた。
「20年ほど前、幸運にもインテリアデザイナー、アンドレ・プットマンをパリのアトリエに訪れ、インタビューする機会があったのですが、未来のインテリアについて尋ねると『住宅はよりオフィスに近づき、オフィスは住宅に近づくでしょう』という答えが返ってきました。今日、その言葉通り住宅とオフィスは、双方向から歩み寄るような環境づくりが加速しています」。昨今のインテリアトレンドの大きな流れは、女史の示唆にその答えがあるように思える、とヒジュンさん。「住宅のようなリビングルームをもつオフィスもあれば、倉庫のようなコンクリートむき出しの家もあり、今や世界で人気のインダストリアルスタイル、ウェアハウススタイルは、オフィスや工場、倉庫から機能やアイテム、素材を持ち込み、空間そのものを住宅に転換することで、その境界を越えた新しいスタイルを生み出しています」。
ヒジュンさんの執筆記事はこちら
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「20年ほど前、幸運にもインテリアデザイナー、アンドレ・プットマンをパリのアトリエに訪れ、インタビューする機会があったのですが、未来のインテリアについて尋ねると『住宅はよりオフィスに近づき、オフィスは住宅に近づくでしょう』という答えが返ってきました。今日、その言葉通り住宅とオフィスは、双方向から歩み寄るような環境づくりが加速しています」。昨今のインテリアトレンドの大きな流れは、女史の示唆にその答えがあるように思える、とヒジュンさん。「住宅のようなリビングルームをもつオフィスもあれば、倉庫のようなコンクリートむき出しの家もあり、今や世界で人気のインダストリアルスタイル、ウェアハウススタイルは、オフィスや工場、倉庫から機能やアイテム、素材を持ち込み、空間そのものを住宅に転換することで、その境界を越えた新しいスタイルを生み出しています」。
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そして、住宅本来のテイストである、素朴で温かみのある木材や石を使ったラスティックスタイルが先の2つのスタイルに歩み寄り、これらが融合するミックススタイリングの現象が起きている、とヒジュンさんは指摘する。ここではインダストリアル、ウェアハウス、ラスティックの3つのスタイルを貫く、注目したい素材の組み合わせやアイテムの具体例を挙げてもらった。
天然素材とスチールのコンビネーション
「まず、天然素材とスチールのコンビネーションを挙げておきたい」とヒジュンさんは言う。「天然素材に無機質なスチールを組むことにより、洗練さが生まれます」。写真は、スチールのフレームにオイル仕上げの杉古材の棚板を組んだ、〈杉山製作所〉の《FACT》のテーブルとスツール、シェルフだ。「スチールとぬくもりのある古材の相性による、洗練された温かさ。斬新なデザインでは、イタリアのラグジュアリー家具ブランド〈バクスター〉の新作に見る、革を巻き込んだ棚板や、籐張りの棚板と組むスチール使いなども目が離せません」。
「まず、天然素材とスチールのコンビネーションを挙げておきたい」とヒジュンさんは言う。「天然素材に無機質なスチールを組むことにより、洗練さが生まれます」。写真は、スチールのフレームにオイル仕上げの杉古材の棚板を組んだ、〈杉山製作所〉の《FACT》のテーブルとスツール、シェルフだ。「スチールとぬくもりのある古材の相性による、洗練された温かさ。斬新なデザインでは、イタリアのラグジュアリー家具ブランド〈バクスター〉の新作に見る、革を巻き込んだ棚板や、籐張りの棚板と組むスチール使いなども目が離せません」。
ワイヤーワークとソフトメタル
この写真は、ワイヤーフレームをシステム化し、自在に組み立て可能な、スウェーデンの家具ブランド〈ストリング〉のシェルフだ。北欧発の代表的なタイムレスデザインの収納家具が、セルフビルド志向の高まっている今日、改めて新鮮に映る。「建築家ニルス・ストリニングが1949年にデザインしたこのシェルフシステムは、ワイヤーフレームを軸に縦横に棚、収納、デスクなどを組み込んだ自在な設計が可能です」とヒジュンさん。
この写真は、ワイヤーフレームをシステム化し、自在に組み立て可能な、スウェーデンの家具ブランド〈ストリング〉のシェルフだ。北欧発の代表的なタイムレスデザインの収納家具が、セルフビルド志向の高まっている今日、改めて新鮮に映る。「建築家ニルス・ストリニングが1949年にデザインしたこのシェルフシステムは、ワイヤーフレームを軸に縦横に棚、収納、デスクなどを組み込んだ自在な設計が可能です」とヒジュンさん。
「インテリア雑貨では、鉄筋を加工したハンガーラックやワイヤーラックスタンド、ワイヤーバスケットなど、すっきりとした無駄のない機能美も静かなブームです」。
さらに、「エッチング加工したメタルシェードの〈トム・ディクソン〉の照明も、素材の持ち味を存分に発揮させて、ラグジュアリーな空間から日常のインテリアまで引き立てる力があります。このように、エキスパンドメタルも含めたソフトメタル素材の台頭も、注目したいところです」とも。
DIYの広がりとハンドメイドテイストの人気
「作家もの、職人による陶芸、木工、ガラス工芸品などから、自ら手を動かして作るDIYまで、幅広い意味でのハンドメイドテイストにも、ますます人気が集まりそう」とヒジュンさんは語る。写真は、杉の板材を組んだ〈石巻工房〉のブックスタンド。こういったシンプルで素朴で、ちょっと武骨な手作り感、癒されるような味わいも、旬のテイストといえるかもしれない。
「作家もの、職人による陶芸、木工、ガラス工芸品などから、自ら手を動かして作るDIYまで、幅広い意味でのハンドメイドテイストにも、ますます人気が集まりそう」とヒジュンさんは語る。写真は、杉の板材を組んだ〈石巻工房〉のブックスタンド。こういったシンプルで素朴で、ちょっと武骨な手作り感、癒されるような味わいも、旬のテイストといえるかもしれない。
さまざまな廃材をパッチワークのように組み合わせ、アートオブジェのようなデザインのキャビネットやテーブル、椅子などに見事に蘇らせるオランダのデザイナー、ピート・へイン・イーク。ヒジュンさんが注目しているデザイナーのひとりだ。彼の活動も、このトレンドを大きく加速させたといえるだろう。
「ピート・へイン・イークは、そのブランドの商品ラインナップに、色褪せた羽目板柄をプリントした壁紙までプラスしています」とヒジュンさん。廃材や古材がしゃれたインテリア素材として認知され、壁紙の柄としても話題を集めていることは、以前より気軽に壁紙を貼り替える人々が増えていることもあわせ、DIYが趣味の活動としてもテイストとしても、さらに広がっていく流れといえそうだ。
ヴィンテージ素材とクラシックアイテム、モダンスタイルの融合
今年らしいミックススタイリングの要素はほかにもある。トレンドをほどよく取り入れた、モダンでラグジュアリーなスタイルが人気のインテリアデザイナー、清田直美さんは、インテリアファブリックの素材、色や柄の組み合わせを中心に、今年気になるトレンドのディテールを挙げてくれた。
「注目しているのは、古びた素材感のある木質系の床材や壁装材、アンティークタイルなどのもつ、ラフな感触やラスティックな質感、スモーキーなカラーを活かしたコーディネートです」。
今年らしいミックススタイリングの要素はほかにもある。トレンドをほどよく取り入れた、モダンでラグジュアリーなスタイルが人気のインテリアデザイナー、清田直美さんは、インテリアファブリックの素材、色や柄の組み合わせを中心に、今年気になるトレンドのディテールを挙げてくれた。
「注目しているのは、古びた素材感のある木質系の床材や壁装材、アンティークタイルなどのもつ、ラフな感触やラスティックな質感、スモーキーなカラーを活かしたコーディネートです」。
「どこか懐かしさや温かみを感じさせる、年代物の素材を、洗練されたモノトーンのモダンスタイルのインテリアの一部に取り入れ、アンティークな家具や小物を上手に合わせる、といった感じが、2017年のトレンドになるのではないでしょうか」。新しいものと古いもの、アンティークやヴィンテージの融合は以前から人気だが、今年はさらに複雑に進化する。「ナチュラルな木質素材と、金属や石、アイアンなどの異質な素材を複数組み合わせ、個性的でありながら安らげる空間をデザインしていきたいと思います」。
凹凸のある幾何学模様の、大胆で繊細なアクセント
デジタルな幾何学模様をスパイスに使う流れも続きそう、と清田さん。「大胆な幾何学模様をプラスすると、空間に奥行きと伸びやかな印象を感じさせます。最近は特に壁紙やカーテン、クッションなどに使われるテキスタイルに、凹凸のある3D、キルトやエンボスなど立体感のある幾何学模様のデザインが可能になり、多彩な表現が楽しめるようになりました。デジタルな連続柄が、単調になりがちなシンプルなインテリアに変化を与え、今年らしい印象に仕上げてくれます」。
デジタルな幾何学模様をスパイスに使う流れも続きそう、と清田さん。「大胆な幾何学模様をプラスすると、空間に奥行きと伸びやかな印象を感じさせます。最近は特に壁紙やカーテン、クッションなどに使われるテキスタイルに、凹凸のある3D、キルトやエンボスなど立体感のある幾何学模様のデザインが可能になり、多彩な表現が楽しめるようになりました。デジタルな連続柄が、単調になりがちなシンプルなインテリアに変化を与え、今年らしい印象に仕上げてくれます」。
洗練されたグレーとイエローのカラーコーディネート
トレンドカラーや、旬の色の組み合わせも数々あるが、清田さんにひとつ選んでもらったおすすめはこのカラーミックス。「パステル調のグレーをベースにした内装に、酸味の効いたイエローを合わせたカラーコーディネートが新鮮です。子供っぽくなりがちなイエローも、グレイッシュでモダンな空間にうまく使うと、適度なトレンド感のある楽しいインテリアコーディネートが実現します」。
「アクセントカラーとしてだけでなく大きな面積に使ってみるのも、トレンド感が出て素敵だと思います。ビタミンカラーは、気分も盛り上げてくれて、部屋の居心地がさらによくなるはず。対比カラーのブルーを加えると、さらにコーディネートの幅が広がります」とのアドバイスだ。
トレンドカラーや、旬の色の組み合わせも数々あるが、清田さんにひとつ選んでもらったおすすめはこのカラーミックス。「パステル調のグレーをベースにした内装に、酸味の効いたイエローを合わせたカラーコーディネートが新鮮です。子供っぽくなりがちなイエローも、グレイッシュでモダンな空間にうまく使うと、適度なトレンド感のある楽しいインテリアコーディネートが実現します」。
「アクセントカラーとしてだけでなく大きな面積に使ってみるのも、トレンド感が出て素敵だと思います。ビタミンカラーは、気分も盛り上げてくれて、部屋の居心地がさらによくなるはず。対比カラーのブルーを加えると、さらにコーディネートの幅が広がります」とのアドバイスだ。
新たな視点のサステイナブルなインテリア
英国と日本を拠点に、インテリアデザイナー、デザインコンサルタントとして、グローバルな視野に立った活動で知られる〈NSDA LONDON〉の澤山乃莉子さん。澤山さんが今期のトレンドの軸に据えるのは、「サステイナビリティ(持続可能性)」というキーワードだ。伝統技術の継承、生産者の安全、世代を超えて使用できる、原料を枯渇させないなど、「サステイナブルという言葉の適応範囲が、現在ではさらに包括的で幅広いことが理解され、企業やデザイナーの哲学を反映するデザインとなっています」と澤山さん。サステイナブルデザインを軸に、話題のアイテムや素材、注目したいデザイナーを挙げつつ、ロンドンのインテリア最新情報を踏まえたホットなトレンドを教えてくれた。
英国と日本を拠点に、インテリアデザイナー、デザインコンサルタントとして、グローバルな視野に立った活動で知られる〈NSDA LONDON〉の澤山乃莉子さん。澤山さんが今期のトレンドの軸に据えるのは、「サステイナビリティ(持続可能性)」というキーワードだ。伝統技術の継承、生産者の安全、世代を超えて使用できる、原料を枯渇させないなど、「サステイナブルという言葉の適応範囲が、現在ではさらに包括的で幅広いことが理解され、企業やデザイナーの哲学を反映するデザインとなっています」と澤山さん。サステイナブルデザインを軸に、話題のアイテムや素材、注目したいデザイナーを挙げつつ、ロンドンのインテリア最新情報を踏まえたホットなトレンドを教えてくれた。
朽木を活かしたダイレクトな自然表現
まずは、倒れたり朽ちてしまった木を使って自然をダイレクトに表現し、デザインされた作品群。写真は、英国北部に拠点をおく〈J・ショロック〉のプロダクトだ。「主に地元で育ったハードウッドを使い、それぞれの木が持つ欠陥や自然の形状を最高の形で活かした作品を生み出しています。制作はすべて手作業で行われており、木々と対話しながら作られる造形的で手の込んだ作品が特徴です」。
まずは、倒れたり朽ちてしまった木を使って自然をダイレクトに表現し、デザインされた作品群。写真は、英国北部に拠点をおく〈J・ショロック〉のプロダクトだ。「主に地元で育ったハードウッドを使い、それぞれの木が持つ欠陥や自然の形状を最高の形で活かした作品を生み出しています。制作はすべて手作業で行われており、木々と対話しながら作られる造形的で手の込んだ作品が特徴です」。
「また、〈タマシン・オシャー・デザイン〉(写真はデザイナー本人)のアイテムは、自然に倒れたビーチ材を使用して作られていますが、いずれも特殊なプロセスを経たスポルテッドビーチ(木の亀裂などから雨水などがしみ込み、内部に細菌が繁殖して、黒っぽい筋のある材)が使われています。作品制作にふさわしい状態になるまでおよそ2~3年かかるそうですが、そのプロセスによって作られる模様はユニークで、何とも不思議な空気感を醸し出しています」。
Photo courtesy of Woodpop
現代風にアレンジされた象嵌(ぞうがん)、「マーケットリー」
澤山さんの考える、インテリアにおけるサステイナビリティの意義のひとつとして、「生産する地域の伝統技術の継承、伝統文化の発展、人々の生活の向上にいかに寄与するか」がある。もうひとつの注目トレンドは、伝統技術の新しい解釈、「現代風にアレンジされたマーケットリー(木象嵌)」だ。
「マーケットリーは、ベニヤ(突板)などに描いた模様を切り取って表面に貼りつけたもので、16世紀頃誕生した技法ですが、近年英国でトレンドとなっており、高度な技術を要する手仕事への回帰が見受けられます。キャビネットや本棚などの面材に使われ、伝統的なモチーフとしては花や植物が多く見られますが、なかには幾何学模様などもあり、材質は、ベニヤをベースとして象牙や亀甲、マザーパール、ピューター、真鍮などが使われます」。
現代風にアレンジされた象嵌(ぞうがん)、「マーケットリー」
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「マーケットリーは、ベニヤ(突板)などに描いた模様を切り取って表面に貼りつけたもので、16世紀頃誕生した技法ですが、近年英国でトレンドとなっており、高度な技術を要する手仕事への回帰が見受けられます。キャビネットや本棚などの面材に使われ、伝統的なモチーフとしては花や植物が多く見られますが、なかには幾何学模様などもあり、材質は、ベニヤをベースとして象牙や亀甲、マザーパール、ピューター、真鍮などが使われます」。
Photo courtesy of Bethan Gray
このトレンドに関連し、澤山さんはふたりの女性デザイナーを挙げてくれた。ひとりは、音楽業界からそのキャリアをスタートし、伝統技術を駆使しながらパンチの効いたロックテイストの象嵌家具を作る〈ウッドポップ〉のエマ・ウッド。もうひとりは、アラビアとペルシャを渡ってきたインド系の先祖を持ち、あらゆる国の職人とのコラボレーションにより、東西が融合した独創的なクラフトアイテムを作り出すベサン・グレイ。いずれも自身のルーツや異色のキャリアをデザインに活かし、マーケットリーという伝統技術をモダンにアレンジしていることが大きな特徴だ。
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エクレクティックの女王、キット・ケンプのデザイン活動
最後にもうひとり、有名なデザイナーズホテル〈ファームデール・ホテルズ〉の仕掛け人であり、エクレクティックの女王とも呼ばれるインテリアデザイナー、キット・ケンプの活動にも注目したい、と澤山さん。「キット・ケンプは、刑務所の囚人を高い技術のある創造性豊かな刺繍やアップリケのプロに育てる活動を行う〈ファイン・セル・ワークス〉という企業でも理事を務め、自らランプシェードやクッション、ヘッドボードなどをデザインしています。ここで囚人たちは、刺繍・キルト組合のメンバーを含む経験豊富なボランティアによりトレーニングされ、長い時間をかけて手の込んだクッション、バッグ、キルトなどを作り上げ、そのトレーニングと忍耐力を要する作業を通して規律や自尊心を学び、出所後に備えるのです」。
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彼らの作品はヴィクトリア&アルバート美術館や大英図書館などさまざまな場所に展示されており、世界中に販売され、オンライン上でも購入可能。生産者である囚人は売り上げの約37%を給料として受け取る仕組みだそう。「キット・ケンプはホテル経営の枠を超えて、英国のファブリックとデザインの素晴らしさを、このような社会活動を通して伝えています。インテリアにおけるサステイナビリティのあらゆる点を網羅した素晴らしい活動で、彼女の手がけるデザインからますます目が離せません」。
インダストリアルやラスティックのミックス現象、ヴィンテージ素材とDIYブーム、伝統技術のモダンアレンジ、広い視野に立ったサステイナブルデザインなど、さまざまなキーワードが挙がった。2017年も多くの人気アイテムや注目デザイナーが私たちを楽しませてくれるだろう。さて、あなたが注目するのはどんなトレンドだろうか?
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