コメント
今週の部屋:室内につくった二重壁と窓が、 ヴィンテージ家具の美しい背景に
大好きなヴィンテージ家具が美しく映えるように、中古マンションを全面改装。建具や床の質感、壁の色にこだわり、窓を「トリミング」するなど随所に工夫のある素敵なリビングダイニング。
Taeko Ishii
2016年4月11日
フリーランスのエディター・ライター。大学で住まいについて学んだのち、コピーライター、住宅雑誌編集者を経てフリーランスに。暮らしまわりに関すること、地方での暮らしについてが主なテーマです。
フリーランスのエディター・ライター。大学で住まいについて学んだのち、コピーライター、住宅雑誌編集者を経てフリーランスに。暮らしまわりに関すること、地方での暮らしについてが主なテーマです... もっと見る
住まいとは単なる箱ではなく、ソファやテーブル、そこに置くマグカップに至るまで、自分が選んだ「愛着あるもの」を集めてできあがる、この世にひとつだけの空間です。だからこそ、住まいをつくるとき、「お気に入りの家具や雑貨が似合う家にしたい」と願う人は多いもの。
今回ご紹介する部屋は、「大切にしている家具が美しく見えること」をテーマにしたリビングダイニングです。ネイビーの壁に映える落ち着いた色合いの北欧ヴィンテージ家具、真鍮の金具がよく似合う、木製サッシと淡いグレーの壁……。都内のマンションの一室とは思えないほどゆったりとした空気が流れる空間には、オーナーと建築家のこだわりと工夫がぎゅっと詰まっていました。
今回ご紹介する部屋は、「大切にしている家具が美しく見えること」をテーマにしたリビングダイニングです。ネイビーの壁に映える落ち着いた色合いの北欧ヴィンテージ家具、真鍮の金具がよく似合う、木製サッシと淡いグレーの壁……。都内のマンションの一室とは思えないほどゆったりとした空気が流れる空間には、オーナーと建築家のこだわりと工夫がぎゅっと詰まっていました。
ソファやテーブル、シェルフなど、愛用の北欧ヴィンテージ家具をゆったり置ける家を探し、リビングダイニングが広く眺めのよい中古マンションを購入したオーナー。
「家具が美しく見えるように」と、壁や天井、床の素材を一新。フローリングは、家具の木の表情に似合うよう無垢のチーク材のパーケット張りに変え、壁はブルーがかったグレーを基調に、部分的にネイビーを使ってアクセントウォールに。
どんな部屋?
何をする部屋?日常のくつろぎや食事、愛犬と遊ぶ
家族構成:夫婦、愛犬
所在地:東京都国立市
専有面積:約70平方メートル
設計:稲山貴則 建築設計事務所
「家具が美しく見えるように」と、壁や天井、床の素材を一新。フローリングは、家具の木の表情に似合うよう無垢のチーク材のパーケット張りに変え、壁はブルーがかったグレーを基調に、部分的にネイビーを使ってアクセントウォールに。
どんな部屋?
何をする部屋?日常のくつろぎや食事、愛犬と遊ぶ
家族構成:夫婦、愛犬
所在地:東京都国立市
専有面積:約70平方メートル
設計:稲山貴則 建築設計事務所
実はマンションリノベーションの場合、共有部にあたる窓を変更することはできません。この住まいも一般的なマンション同様の無機質なアルミサッシから変えることができませんでしたが、やはり家具の雰囲気には似合いませんでした。
そこで稲山貴則 建築設計事務所の稲山さんが考えたのが、「室内にもう一枚壁と窓をつくること」。元の壁の室内側に壁を立てて二重にし、アルミサッシがちょうど見えないように木製サッシの窓を入れているので、室内からはアルミサッシがまったく見えないのです。
そこで稲山貴則 建築設計事務所の稲山さんが考えたのが、「室内にもう一枚壁と窓をつくること」。元の壁の室内側に壁を立てて二重にし、アルミサッシがちょうど見えないように木製サッシの窓を入れているので、室内からはアルミサッシがまったく見えないのです。
そしてこの壁は、もうひとつユニークなアイデアを叶えてくれました。それは、大きな窓を部分的に隠して「トリミング」すること。
三面に窓があるこの部屋はとても明るく、晴れた日には富士山が見えるほどの眺めが魅力です。その一方で、窓が大きいために「家具を置く壁面が足りない」というデメリットがありました。
三面に窓があるこの部屋はとても明るく、晴れた日には富士山が見えるほどの眺めが魅力です。その一方で、窓が大きいために「家具を置く壁面が足りない」というデメリットがありました。
そこで、大きな窓の内側に壁を立てて部分的に隠し、室内から見るとまるで小さな窓のように見せるという、手品のような方法を使っているのです。
このソファ横の窓、実は外から見ると、床まである掃き出し窓なのです!
このソファ横の窓、実は外から見ると、床まである掃き出し窓なのです!
テレビ背面の窓も、壁で一部を隠して実際よりも小さく見せています。この壁は、フィンランドの建築家、アルヴァ・アアルトの住宅をイメージソースに、リブ加工の板を使用。室内で浮いてしまいがちなテレビも、うまくインテリアになじんでいます。
この二重の壁と窓は、インテリアの美しい背景になるだけではありません。二重窓なので室内を暖かく保ち、さらにブラケットライトの配線を壁の中に隠すこともできるなど、いろいろなメリットがあるのです。
壁の色は北欧ヴィンテージ家具の質感となじむよう、淡いグレーに塗り替えました。光が当たったときの陰影もきれいです。天井のペイントには壁よりもやや明るいトーンのグレーを選び、室内が明るく見えるように工夫しました。
アクセントになるネイビーの壁は、コストを抑えるために元の壁紙の上からペイントしたところ、凹凸が味わい深い表情に。左はデンマークのヴィンテージのチェストで、右側は意外にもイケアの棚なのだそう。
クローズドキッチンは、ダイニングとの間にあった壁を腰高まで低くして、空間がゆるやかにつながるように。キッチンの窓にも木製サッシを取り付けて調和させています。
ソファの近くの、柱のようなスペースの中は、愛犬のお休みスペース。柱と梁の出っ張りを生かして、新しく壁で囲んでいるので、中は空洞です。なんと内側には電気毛布用のコンセントも設置しています。
廊下との間の建具は家具になじむように木でつくり、触れるうちに表情の味わいが増す真鍮のハンドルを取り付けました。右の造作家具は、天板と扉のペイントを変えたのみとは思えないほど雰囲気が変わり、インテリアになじんでいます。
空間とインテリアは別に考えるものではなく、一体となって初めて居心地のいい住まいが生まれます。「どんな家具を置きたいか?」「どんな小物を飾りたいか?」から住まいづくりをスタートさせるのもいいですね!
こちらの記事もおすすめ:
今週の部屋:家の中に小さな家をつくって、家族もゲストも心地よく暮らせるLDKに
今週の部屋 : 倉庫風のインダストリアル空間に、インテリア遊びが光るLDK
今週の部屋:ゲストも気楽に過ごせる、13.2mの「土間」がつなぐリビング空間
今週の部屋:赤いベリーカラーのヴィンテージ絵本ライブラリー
今週の部屋:テーマパークのような、とびきり楽しいファミリールーム
空間とインテリアは別に考えるものではなく、一体となって初めて居心地のいい住まいが生まれます。「どんな家具を置きたいか?」「どんな小物を飾りたいか?」から住まいづくりをスタートさせるのもいいですね!
こちらの記事もおすすめ:
今週の部屋:家の中に小さな家をつくって、家族もゲストも心地よく暮らせるLDKに
今週の部屋 : 倉庫風のインダストリアル空間に、インテリア遊びが光るLDK
今週の部屋:ゲストも気楽に過ごせる、13.2mの「土間」がつなぐリビング空間
今週の部屋:赤いベリーカラーのヴィンテージ絵本ライブラリー
今週の部屋:テーマパークのような、とびきり楽しいファミリールーム
おすすめの記事
部屋別
ソファのサイズ選びの基本とバランスのよいレイアウトとは?
壁に寄せる? 部屋の真ん中に置く? 2人掛けと3人掛けのどちらがいいの? 1人掛けやアームチェア、オットマンとの組み合わせは? ソファのベストな配置について考えてみましょう。
続きを読む
小さな住まい
コンパクトリビングの賢いスペース活用法
コンパクトな空間は、ひとつひとつの要素が持つ「意味」が大切。スペースを最大限に生かしながら、快適に過ごせるテクニックと実例をご紹介しましょう。
続きを読む
照明
住まいの印象を大きく変える、ダウンライトの使い方まとめ
文/藤間紗花
複数使うことで空間に陰影をつくり、スタイリッシュな印象を与えてくれるダウンライト。これまでご紹介した、ダウンライトの活用法についての記事を、まとめてお届けします。
続きを読む
コーディネート・スタイリング
ブランケット、クッション、ファブリックパネルで秋冬のインテリアにチェンジ!
インテリアに季節感を取り入れるのに、最も気軽に使えるのはファブリック。なかでもすぐに試せるブランケット、クッション、ファブリックパネルで小さな模様替えをしてみませんか?
続きを読む
家づくりのヒント
畳店と建築家が教える、子どもと暮らす住まいに畳スペースを設けるメリット
文/藤間紗花
おむつ替えやお昼寝スペースとして。読書やお絵描きを楽しむスペースとして。子どもと暮らす住まいに畳スペースを設けると、さまざまなシーンで役立ちます。
続きを読む