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ひな祭り、桃の節句のお祝いテーブル
ひな祭りのホームパーティーで、ヒントにしていただきたいテーブルのアイデアをご紹介します。
進藤由美子
2016年2月27日
Cooking Studio Y 主宰、料理研究家。美大卒業後、フードコーディネーター、テーブルコーディネーターとして食品メーカーのCM、商品開発などに携わり、料理撮影スタジオ経営を経て、2002年より教室を開設。日々の食卓に新しい彩りを添えるヒントやアイディアを、季節の創作料理と自由な発想のテーブルコーディネートで提供しています。
Cooking Studio Y 主宰、料理研究家。美大卒業後、フードコーディネーター、テーブルコーディネーターとして食品メーカーのCM、商品開発などに携わり、料理撮影スタジオ経営を経て、2002年より教室を開設... もっと見る
3月3日はひな祭り。おひなさまや桃の花を飾って、ひなあられや菱餅を食べて……と、ご家庭でそれぞれの楽しみ方があると思います。日本の季節行事や風習はどれもとても長い歴史がありますが、ひな祭りの由来もとても古いものだそうですね。暮らしの中で伝承されてきた美しい習慣を楽しみながら、春の始まりに、雅やかな桃の節句を楽しむテーブルをお届けします。
いつもの器にプラスアルファのアイデアで、気軽に楽しく演出できる季節のテーブルコーディネート。今回も、基本アイテムと小道具の紹介から始めたいと思います。
白い器
今回のテーブルコーディネートでは扇形の器なども使っていますが、丸や四角の白いお皿でも十分楽しめます。女の子のお祭りということで、さまざまな赤やピンク系の色、雅なゴールドや黒なども使いますから、清潔感のある白をベースにすると、コーディネートのバランスもうまく取れます。
今回のテーブルコーディネートでは扇形の器なども使っていますが、丸や四角の白いお皿でも十分楽しめます。女の子のお祭りということで、さまざまな赤やピンク系の色、雅なゴールドや黒なども使いますから、清潔感のある白をベースにすると、コーディネートのバランスもうまく取れます。
塗りの折敷やお盆
和のテーブルにはやはり、漆塗りの小道具があると風格や落ち着きが出て、すっきりと引き締まるものです。今回は女の子らしい朱塗りの盆や、手前の梅形の折敷が活躍しました。
Houzzでインテリアの専門家を探す
和のテーブルにはやはり、漆塗りの小道具があると風格や落ち着きが出て、すっきりと引き締まるものです。今回は女の子らしい朱塗りの盆や、手前の梅形の折敷が活躍しました。
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桃の節句らしい形のアイテム
扇形の檜の板は、お寿司を供するためのもの。花びらの押し寿司型や花の抜き型、はまぐりの貝殻を使った器など、この季節のお祝い膳らしい小道具でお料理を彩ると、さらにテーブルが華やかになりますね。
扇形の檜の板は、お寿司を供するためのもの。花びらの押し寿司型や花の抜き型、はまぐりの貝殻を使った器など、この季節のお祝い膳らしい小道具でお料理を彩ると、さらにテーブルが華やかになりますね。
春色のリネン、花柄のてぬぐいなど
梅や桃、桜などを思わせる薄紅色、サーモンピンクなどを中心に、菜の花の黄色、芽吹きの淡い緑、春の曇り空のような灰青など、リネン類は春の色合いをたくさん揃えて、組み合わせを試してみましょう。花柄の手ぬぐいなどもとても役に立ちます。和柄のプレースマットは見つかりにくいので、古い帯などを使うのも一考です。一番下の花柄の生地は、古着屋さんで1000円くらいで売っていたカジュアルな帯地を、友人に頼んでマットに仕立ててもらいました。
梅や桃、桜などを思わせる薄紅色、サーモンピンクなどを中心に、菜の花の黄色、芽吹きの淡い緑、春の曇り空のような灰青など、リネン類は春の色合いをたくさん揃えて、組み合わせを試してみましょう。花柄の手ぬぐいなどもとても役に立ちます。和柄のプレースマットは見つかりにくいので、古い帯などを使うのも一考です。一番下の花柄の生地は、古着屋さんで1000円くらいで売っていたカジュアルな帯地を、友人に頼んでマットに仕立ててもらいました。
余談ですが、老舗の和菓子屋さんなどに行くと、日本の美しい四季が色や形に織り込まれた、小さな芸術品のようなお菓子に出会えることがあります。時々そういったお店を覗いて、次の季節を一足先に味わうのもいいですね。
冬の終わりに京都で出会ったこのお干菓子は、まさに季節先取りの春色でした。上の写真で揃えたリネンとも、色づかいが似ていますね。
冬の終わりに京都で出会ったこのお干菓子は、まさに季節先取りの春色でした。上の写真で揃えたリネンとも、色づかいが似ていますね。
紙のマットやコースターは手作りも
和の食卓をつくる際、和紙のテーブル小物はとても重宝します。桜の形をしたコースターのようなマットは、杉懐敷といって、杉の木を薄くスライスして作られた市販品。プレースマットは、書道の先生にお願いして墨で和歌などを書いていただいた紙をちぎり、色紙に貼りつけた手作りです。
和の食卓をつくる際、和紙のテーブル小物はとても重宝します。桜の形をしたコースターのようなマットは、杉懐敷といって、杉の木を薄くスライスして作られた市販品。プレースマットは、書道の先生にお願いして墨で和歌などを書いていただいた紙をちぎり、色紙に貼りつけた手作りです。
古典柄がポイント、ピンク尽くしのテーブル
ひな祭りの日は、ガーリーなピンクでまとめたテーブルで楽しむパーティもいいかもしれません。たとえば、ロゼのシャンパンで乾杯して、お食事は春らしいグリーンピースのスープからスタート。先程ご紹介した、古い着物の帯地のプレースマットを敷いています。渋いピンクにシルバーとゴールドで古風な花柄が描かれているので、ピンク尽くしでも甘くなりすぎず、少しだけ大人っぽくなりました。ナプキン代わりにした花柄の手ぬぐいを結んだのは、お菓子の袋についていた花飾りのワイヤーです。
ひな祭りの日は、ガーリーなピンクでまとめたテーブルで楽しむパーティもいいかもしれません。たとえば、ロゼのシャンパンで乾杯して、お食事は春らしいグリーンピースのスープからスタート。先程ご紹介した、古い着物の帯地のプレースマットを敷いています。渋いピンクにシルバーとゴールドで古風な花柄が描かれているので、ピンク尽くしでも甘くなりすぎず、少しだけ大人っぽくなりました。ナプキン代わりにした花柄の手ぬぐいを結んだのは、お菓子の袋についていた花飾りのワイヤーです。
食卓の真ん中には、テーブル小物のお店で買った丸い和紙のマットを重ねて敷き、花型のコースターや花びらの箸置きを飾りました。季節の風物をかたどった箸置きは、箸を置く用途以外に、こんなふうにオブジェとして使うのも楽しいものです。グラスには、ひなあられや金平糖を飾りつけて。
テーブルフラワーは気軽に、カジュアルに
ピンクの花柄のテーブルなので、お花を飾るなら、あくまでさりげなく。水盆に見立てたガラスボウルに水を張り、スイートピーの花を短く切って浮かべたテーブルフラワーはいかがでしょうか。
ピンクの花柄のテーブルなので、お花を飾るなら、あくまでさりげなく。水盆に見立てたガラスボウルに水を張り、スイートピーの花を短く切って浮かべたテーブルフラワーはいかがでしょうか。
お祝い膳を楽しむ、伝統を取り入れたテーブル
こちらは、ちょっとトラディショナルなテーブルです。テーブルセンター代わりに敷いた和紙の上に梅の花の形の漆の折敷を置き、女の子のお稽古事に使う道具、扇をかたどったお皿を合わせました。箸置きも梅の形で、お箸と紅白になるようにセットしています。リキュールグラスには手作りの梅酒、カッティングの入ったワイングラスにはロゼワインを。
こちらは、ちょっとトラディショナルなテーブルです。テーブルセンター代わりに敷いた和紙の上に梅の花の形の漆の折敷を置き、女の子のお稽古事に使う道具、扇をかたどったお皿を合わせました。箸置きも梅の形で、お箸と紅白になるようにセットしています。リキュールグラスには手作りの梅酒、カッティングの入ったワイングラスにはロゼワインを。
ひな祭りの花といえば、定番はもちろん桃の花ですが、可愛らしい猫柳の枝が手に入ったので、おつまみのお盆にあしらってみました。桃色から灰色のグラデーションがきれいな、ふわふわした花をつけたこの猫柳は、その名も「ピンク・トゥ・グレー」というのだそうです。
扇形のお皿に盛り付けたのは、小さな手毬寿司。左から、小鯛(春子・かすご)の昆布締めに桜の塩漬けをのせたもの、錦糸卵と鯛でんぶに花麩をのせたもの、サーモンとクリームチーズにゆずこしょうを合わせて木の芽をあしらったものです。お椀は伝統にのっとり、はまぐりのお吸い物を。
盃には、陶器の小さなおひなさまを入れました。お酒を飲み始めるときに取り出して、好きなところに並べて眺めながら飲んでくださいね、とのおもてなしの心を込めています。
盃には、陶器の小さなおひなさまを入れました。お酒を飲み始めるときに取り出して、好きなところに並べて眺めながら飲んでくださいね、とのおもてなしの心を込めています。
木目込みの親王飾り
気軽に飾れる、小さなおひなさまが好きです。
実家には七段飾りのおひなさまがありましたが、今の家には持ってこなかったため、30年ほど前に浅草で自分のために買ったのがこの親王飾り(お殿さまとお姫さまの2人だけのおひなさま)です。木目込み人形は、美しい衣装がほつれたり傷んだりせず、ずっときれいなままなのがいいですね。屏風とぼんぼり、繊細な花の飾りがセットになっていますが、屏風は使ったり使わなかったり。毛氈(もうせん)は赤だけでなく、黒塗りや朱塗り、錦織にするときもあり、毎年変化をつけて楽しんでいます。今年はこの窓辺で、金色の折敷の上に鎮座していただきました。
気軽に飾れる、小さなおひなさまが好きです。
実家には七段飾りのおひなさまがありましたが、今の家には持ってこなかったため、30年ほど前に浅草で自分のために買ったのがこの親王飾り(お殿さまとお姫さまの2人だけのおひなさま)です。木目込み人形は、美しい衣装がほつれたり傷んだりせず、ずっときれいなままなのがいいですね。屏風とぼんぼり、繊細な花の飾りがセットになっていますが、屏風は使ったり使わなかったり。毛氈(もうせん)は赤だけでなく、黒塗りや朱塗り、錦織にするときもあり、毎年変化をつけて楽しんでいます。今年はこの窓辺で、金色の折敷の上に鎮座していただきました。
一刀彫の立雛
このおひなさまは3、4年前に手に入れた、奈良の一刀彫の立雛です。シックで優しい色合いが気に入って求めました。荒木義人氏という作家の方の手によるもので、秋篠宮家にお納めしたものと同じですよ、と店主の方がおっしゃっていました。
このおひなさまは3、4年前に手に入れた、奈良の一刀彫の立雛です。シックで優しい色合いが気に入って求めました。荒木義人氏という作家の方の手によるもので、秋篠宮家にお納めしたものと同じですよ、と店主の方がおっしゃっていました。
陶器の豆雛
おひなさまの並べ方は、向かって左が男雛、右が女雛の関東風、左が女雛、右が男雛の関西風があることは有名ですが、三人官女と五人囃子の並べ方にも決まりがありますよね。三人官女の持ち物は左から酒器、盃、柄杓(ひしゃく)。五人囃子の楽器は左から大太鼓、小太鼓、鼓(つづみ)、笛と並び、右端に謡い手が座ります。この親指ほどの小さな豆雛も、伝統にならって並べています。
おひなさまの並べ方は、向かって左が男雛、右が女雛の関東風、左が女雛、右が男雛の関西風があることは有名ですが、三人官女と五人囃子の並べ方にも決まりがありますよね。三人官女の持ち物は左から酒器、盃、柄杓(ひしゃく)。五人囃子の楽器は左から大太鼓、小太鼓、鼓(つづみ)、笛と並び、右端に謡い手が座ります。この親指ほどの小さな豆雛も、伝統にならって並べています。
子供の健康と幸せを祈って
これは、「お伽犬(おとぎいぬ)」あるいは「犬箱・犬函(いぬばこ)」と呼ばれる、おひなさまの左右に置かれる守護神の犬です。安産や子供の健康を祈って飾られることもあり、現在の犬張子のもとになったものだそう。お座布団に座った姿がなんだか可愛くて、桃の節句のシーズンにはいつも、この子たちも一緒に飾ります。
これは、「お伽犬(おとぎいぬ)」あるいは「犬箱・犬函(いぬばこ)」と呼ばれる、おひなさまの左右に置かれる守護神の犬です。安産や子供の健康を祈って飾られることもあり、現在の犬張子のもとになったものだそう。お座布団に座った姿がなんだか可愛くて、桃の節句のシーズンにはいつも、この子たちも一緒に飾ります。
ひな祭りのお茶会はいかが?
さて、もっと気軽にお祝いするなら、和菓子と煎茶でティーパーティーはいかがでしょうか。おいしい和菓子を手に入れて、丁寧にお茶をいれて、とっておきの器でお祝いするのも乙なものです。
ここで使っている雲の織り地も、古い着物の帯をリメイクしたテーブルセンター。臙脂色や朱色、墨色、黄色など美しい糸で茜空を織り上げた生地が、朱塗りや藍の器に似合います。
骨董の楕円皿の、梅とうぐいすの絵柄に合わせ、練り切りも梅とうぐいすのものを求めました。
さて、もっと気軽にお祝いするなら、和菓子と煎茶でティーパーティーはいかがでしょうか。おいしい和菓子を手に入れて、丁寧にお茶をいれて、とっておきの器でお祝いするのも乙なものです。
ここで使っている雲の織り地も、古い着物の帯をリメイクしたテーブルセンター。臙脂色や朱色、墨色、黄色など美しい糸で茜空を織り上げた生地が、朱塗りや藍の器に似合います。
骨董の楕円皿の、梅とうぐいすの絵柄に合わせ、練り切りも梅とうぐいすのものを求めました。
もっと本格的にするなら、お抹茶はいかがでしょう。典雅な趣味を持つ友人は、本格的な野点セットでお抹茶をたててくれます。優雅な花筏の蒔絵の小箱の中に、茶碗、茶托、茶筅、懐紙などがセットされています。庭でお茶を楽しむためにこういうしゃれた道具箱を考え出したなんて、昔の日本人はなんと贅沢で風流だったのでしょう。
季節ごとに、日本のよき伝統を大切に、普段の暮らしに取り入れて暮らしていくのは素晴らしいことですね。次回も、手持ちの器と身近な小道具と小さなアイデアでしつらえる、季節のテーブルをお届けしたいと思います。
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知っているようで、意外と知らない“ひな祭り”の由来と歴史
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