リビング空間に合わせた、ベストなソファの配置を考える
リビング空間のどこに、どんな配置でソファを置きますか? 一般的な配置からちょっとした工夫のあるものまで、くつろげるソファコーナーの配置を見てみましょう。
Yoko Ogino
2016年1月30日
インテリアショップオーナー。建築士の資格を持ち住宅及び庭のプラン、デザインまで手掛る。英国での生活体験から奥行のある文化や暮らしに感銘を受け帰国後イギリスのライフスタイルを提案するショップをオープン。英国のインテリアスタイルの中でも特にイングリッシュカントリーに共感し現在は緑豊かな鎌倉山でスローなライフスタイルを提案しています。
インテリアショップオーナー。建築士の資格を持ち住宅及び庭のプラン、デザインまで手掛る。英国での生活体験から奥行のある文化や暮らしに感銘を受け帰国後イギリスのライフスタイルを提案するショップをオープン... もっと見る
新しく家を建てたり、リノベーションをして新生活を始めるとき、真っ先に購入したい家具は何でしょう? 大多数の日本人が食卓と答えるのに対し、欧米の人たちにとって一番はソファだそうです。他に家具がなくても、ソファがあればそこに座り食事もでき、夜はベッドに早変わりさせることもできるからだと言います。暮らしに必要なその他の家具(ベッド、デスク、ダイニングテーブルなど)は、その後にひとつずつ揃えていけばいいのだそうです。
このことを聞いたとき、畳の暮らしが長かった日本人との違いを、とてもおもしろく感じました。私たちは床に座ることに慣れているので、ソファの優先順位は低いのかもしれません。でも今、ソファはリビング空間のインテリアの中で重要な位置を占める家具だと思います。ファブリックで変化を楽しめますし、座り心地のよさでくつろぎをもたらしてくれ、設置場所によって間仕切り代わりにもなります。
家具のなかでも比較的動かしやすいソファを使って、お部屋の印象を変化させてみませんか? 部屋の中で欠かせない役割を担う主役として活躍するシーンを、さまざまな配置をご覧いただきながら解説したいと思います。
このことを聞いたとき、畳の暮らしが長かった日本人との違いを、とてもおもしろく感じました。私たちは床に座ることに慣れているので、ソファの優先順位は低いのかもしれません。でも今、ソファはリビング空間のインテリアの中で重要な位置を占める家具だと思います。ファブリックで変化を楽しめますし、座り心地のよさでくつろぎをもたらしてくれ、設置場所によって間仕切り代わりにもなります。
家具のなかでも比較的動かしやすいソファを使って、お部屋の印象を変化させてみませんか? 部屋の中で欠かせない役割を担う主役として活躍するシーンを、さまざまな配置をご覧いただきながら解説したいと思います。
窓を背にした配置
窓の前にソファを置くのはよく見る例ですね。ソファの色とカーテンを合わせ、窓まわりに一体感を持たせると、外の景色が絵のように切り取られて見えます。モノトーンのインテリアなので、窓外の明るさも際立ちますね。ソファやテーブルの高さを低く抑えているので、縦長窓の高さがいっそう目立ちます。窓を背景にソファを置くメリットのひとつは、このように窓外の景色をインテリアに取り込めることです。
窓の前にソファを置くのはよく見る例ですね。ソファの色とカーテンを合わせ、窓まわりに一体感を持たせると、外の景色が絵のように切り取られて見えます。モノトーンのインテリアなので、窓外の明るさも際立ちますね。ソファやテーブルの高さを低く抑えているので、縦長窓の高さがいっそう目立ちます。窓を背景にソファを置くメリットのひとつは、このように窓外の景色をインテリアに取り込めることです。
ソファに座ったときの快適性も、もちろん大切です。こちらの家ではソファの背後にラジエーターを設置し、ソファとコーディネートしたカーテンとともに、冬場の窓辺の寒さを軽減しています。
壁面を背にした配置
ソファを壁面にぴったり置くと背後が安定し、安心感が生まれます。対面のテレビを観るために程よい距離をとり、中央のアイアンストーブを交えたバランスのよい配置で、とてもくつろげそうです。
ソファを壁面にぴったり置くと背後が安定し、安心感が生まれます。対面のテレビを観るために程よい距離をとり、中央のアイアンストーブを交えたバランスのよい配置で、とてもくつろげそうです。
ゆったりとした気分で本を閲覧できそうな位置に置かれた白いソファ。本棚を背面に、人が一人通れるくらいあけて配置しています。本棚のこげ茶色と白のコントラストで、この明るく落ち着いた部屋のフォーカルポイントになっています。
コの字配置
コの字型のソファ。窓や壁面の高さを強調できるよう、背の低い家具を組み合わせて落ち着いた雰囲気をつくっています。たくさんの人が集まるラウンジや待合にぴったりの配置です。複数のソファをこのように並べても同じ効果が出せます。
コの字型のソファ。窓や壁面の高さを強調できるよう、背の低い家具を組み合わせて落ち着いた雰囲気をつくっています。たくさんの人が集まるラウンジや待合にぴったりの配置です。複数のソファをこのように並べても同じ効果が出せます。
シンメトリー配置
トラディショナルな印象のインテリアに仕上げるには、すべてシンメトリーに配置するに限ります。マントルピースを中心に、左右対称に置かれた照明器具とソファが居心地よい安定した空間をつくっています。両サイドともサイズを揃えるとバランスよく仕上がります。
トラディショナルな印象のインテリアに仕上げるには、すべてシンメトリーに配置するに限ります。マントルピースを中心に、左右対称に置かれた照明器具とソファが居心地よい安定した空間をつくっています。両サイドともサイズを揃えるとバランスよく仕上がります。
ゾーニングに役立つ配置
ときにソファは、ゾーンを分ける間仕切りの代わりにもなります。背中合わせで空間を2分割。広さのあるスペースならではの配置です。ソファの背面にボックスやフリースタンディングの棚を置いても、ゾーニングに役立ちます。ちなみに、こちらもきっちり、シンメトリー配置ですね。
ときにソファは、ゾーンを分ける間仕切りの代わりにもなります。背中合わせで空間を2分割。広さのあるスペースならではの配置です。ソファの背面にボックスやフリースタンディングの棚を置いても、ゾーニングに役立ちます。ちなみに、こちらもきっちり、シンメトリー配置ですね。
一人掛けソファを組み合わせた配置
一人掛けソファやオットマン、スツールなどを組み合わせて配置することで、マントルピースまわりの空間をテーブルを中心にして囲い込み、家族的なぬくもりと親密感を生み出しています。グレイがテーマのインテリアはともすれば地味になりがちですが、窓前配置でフレームの白を取り込み、シックに仕上げ、かつメリハリを利かせています。
一人掛けソファやオットマン、スツールなどを組み合わせて配置することで、マントルピースまわりの空間をテーブルを中心にして囲い込み、家族的なぬくもりと親密感を生み出しています。グレイがテーマのインテリアはともすれば地味になりがちですが、窓前配置でフレームの白を取り込み、シックに仕上げ、かつメリハリを利かせています。
一人掛けソファは「斜め」に
ここで、一人掛けソファの置き方についても考えてみたいと思います。
斜め配置は空間に余裕を見せたいとき効果的です。一人掛けのソファはこの小さな部屋でストーブとスペースを半分ずつ共有していますが、不思議と狭さを感じさせません。アイアン製のストーブとの相性を考えて、ソファをラスティックでラフな雰囲気の素材にし、インテリアをまとめています。
ここで、一人掛けソファの置き方についても考えてみたいと思います。
斜め配置は空間に余裕を見せたいとき効果的です。一人掛けのソファはこの小さな部屋でストーブとスペースを半分ずつ共有していますが、不思議と狭さを感じさせません。アイアン製のストーブとの相性を考えて、ソファをラスティックでラフな雰囲気の素材にし、インテリアをまとめています。
同じようにファイヤープレイスの隣に配置した一人掛けソファ。大理石のマントルピースの脇に斜めに置かれたソファは、やわらかい質感のファブリックを使用しているため、部屋のムードを優しげに見せています。斜め配置にすることでかっちりしたイメージをわずかに崩し、インテリアに余裕を感じさせています。
コンパクトなスペースに配置する場合の工夫
低めの家具を配置し、ソファの色を白にしたおかげで、家具の量のわりに狭さを感じさせず、かつ楽しい空間に仕上がっています。奥の色違いのソファにも、同じ白のクッションやブランケットでつながりを持たせているのも心憎い演出です。
低めの家具を配置し、ソファの色を白にしたおかげで、家具の量のわりに狭さを感じさせず、かつ楽しい空間に仕上がっています。奥の色違いのソファにも、同じ白のクッションやブランケットでつながりを持たせているのも心憎い演出です。
狭小ワンルームのリノベーションで部屋の中にひな壇のようなプラットフォームをつけました。キッチンとリビングエリアの境に設置した棚にベッドを収納し、昼間は半分だけ引き出してソファとして利用し、夜は全部出してベッドに早変わり。狭いスペースでソファベッドを有効に活用する楽しいアイデアです。
目線を考慮した配置
ダイニングと共有するスペースの中のプライベートな空間が、町家の格子のような引違戸で区画されています。このコーナーはダイニング側より一段低くなっているため、座ったときの目線が下がり、ダイニングにいる人々の足元が見えますが、動きが気にならないように配慮し、テーブルに背を向ける位置にしています。これにより外部の動きが視界に入らず、さらにいっそうプライベートな印象が強まっています。
ダイニングと共有するスペースの中のプライベートな空間が、町家の格子のような引違戸で区画されています。このコーナーはダイニング側より一段低くなっているため、座ったときの目線が下がり、ダイニングにいる人々の足元が見えますが、動きが気にならないように配慮し、テーブルに背を向ける位置にしています。これにより外部の動きが視界に入らず、さらにいっそうプライベートな印象が強まっています。
こちらも、ほかの床より下がった位置にソファを配置。ストーブをL字形に囲い込みました。低めの設置で窓外の緑がいっそう大きく見える演出です。床に段差をつけると必然的にソファの位置も下がり、腰をかけたときの目線が低くなるため、景色を見上げるようになり、雄大な印象を強める効果があります。
造り付けのソファ
こちらでは、出窓のように張り出したベイウィンドウにベンチを造り付けています。マットとクッションを置けば、立派なソファになります。窓や壁面と一体感がある、インテリア性の高いコーナーができ上がりました。
こちらでは、出窓のように張り出したベイウィンドウにベンチを造り付けています。マットとクッションを置けば、立派なソファになります。窓や壁面と一体感がある、インテリア性の高いコーナーができ上がりました。
同じく窓辺のベンチをソファのように使った例です。シンメトリー配置の書棚の中央に、読書や瞑想用のスペースをつくっています。この部屋にはほかにも大きなソファや椅子が置かれていますが、窓辺のベンチのオレンジ色のシートマットが手前のスツールの色と呼応し合い、この部屋のフォーカルポイントとなっています。
ソファはいつでもくつろぎたいときに受け入れてくれる優しさを兼ね備えています。 部屋の用途やサイズに応じてソファの配置を変えれば、ひとつで何役もの仕事をしてくれます。欧米人が広さに関係なくソファを必要とするのは、これが手軽に多様な変化に応じてくれる家具だからなのでしょう。
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日本人と欧米人の欲しがる家具が違う理由は、生活様式が影響しているという導入部分に興味を持ち、一気に読みました。
配置の理由を明確にしてくれていて、「なるほど」と思う部分が多く、勉強になりました。
コメントをいただきありがとうございます! 写真をセレクトしているときも日本人のリビングではダイニングテーブルがフォーカスされているものが多く見られました。日本人は家族団らんの食文化がライフスタイルの中心にあるのですね。