家の魅力を伝える美しい玄関スペース14選
時代とともに住まいの形は変わってきています。特に住む人が出入りし、お客さまを迎え入れる場所でもある玄関のデザインは、近年ますます多彩になってきています。
akiyoshi kawajiri
2016年1月29日
ハウスメーカー、ゼネコン、設計事務所から長年多くのオーダー家具の設計と施工管理の依頼を請けてきました。現在は、2004年に開発したフロートテレビボードとその他の家具の販売、家具データ販売、家具の記事のライティングを中心に活動しています。
ハウスメーカー、ゼネコン、設計事務所から長年多くのオーダー家具の設計と施工管理の依頼を請けてきました。現在は、2004年に開発したフロートテレビボードとその他の家具の販売、家具データ販売、家具の記事のライティングを中心に活動しています... もっと見る
昭和の家の玄関のイメージは、どことなく重い感じがありました。広さがある玄関でも、暗い印象の空間が少なくありませんでした。翻って、平成に入って以降、近年の玄関は明るさに焦点を当てたデザインが増えてきました。広さを感じさせるための工夫が盛り込まれ、さらに人を迎え入れる雰囲気をもつ空間が多くなってきたと思います。今回の記事では、そうしたなかから、和洋両方のスタイルをとりまぜて、さまざまな工夫を見ていきます。
テラスへの視線の抜けが広さを感じさせる
玄関の向かい側に見えるテラスが広さを感じさせますが、注目したいところは左側に見える天井までのサイズの建具です。この建具を吊るためのハンガーレールは天井に埋め込まれており、フラットに見せています。さらに吊り式となっているため、床にレールや敷居も見当たりません。壁の巾木も薄くて控えめなものにしているので、建具とのすき間が最小に抑えられている点も見逃せません。
玄関の向かい側に見えるテラスが広さを感じさせますが、注目したいところは左側に見える天井までのサイズの建具です。この建具を吊るためのハンガーレールは天井に埋め込まれており、フラットに見せています。さらに吊り式となっているため、床にレールや敷居も見当たりません。壁の巾木も薄くて控えめなものにしているので、建具とのすき間が最小に抑えられている点も見逃せません。
玄関からホール(廊下)まで同じタイルを貼る
玄関の正面には中庭の植樹が目に入り、さらに、中庭までそのまま通じているかのように思わせる空間。床のタイルがそのままホールまで続いていることで生まれる効果です。右横の床の一部と一段下げた天井の仕上げに使われている木目が、落ち着いたぬくもりを与えています。
玄関の正面には中庭の植樹が目に入り、さらに、中庭までそのまま通じているかのように思わせる空間。床のタイルがそのままホールまで続いていることで生まれる効果です。右横の床の一部と一段下げた天井の仕上げに使われている木目が、落ち着いたぬくもりを与えています。
奥の空間へと誘う和風の入口
三和土から和室の入口まで、複数の段差を設けています。玄関は渋めのダーク色としていますが、入口となる和室の建具の色は生地色(ナチュラル色)で明るく、和室内部と誘う感覚を高めています。
三和土から和室の入口まで、複数の段差を設けています。玄関は渋めのダーク色としていますが、入口となる和室の建具の色は生地色(ナチュラル色)で明るく、和室内部と誘う感覚を高めています。
縁甲板のある玄関
玄関に入ると通常は段差部分には上がり框があり、床が続いているものですが、ここでは縁甲板が敷かれています。そのため、この家に上がるときは小上がりに上がることになり、訪れた人は、迎え入れられているという特別な感覚を得るに違いありません。
玄関に入ると通常は段差部分には上がり框があり、床が続いているものですが、ここでは縁甲板が敷かれています。そのため、この家に上がるときは小上がりに上がることになり、訪れた人は、迎え入れられているという特別な感覚を得るに違いありません。
和洋折衷の玄関
三和土から玄関ホールまで、それなりの高さがあるので、段差をつなぐための式台があります。加えて、横にベンチも設置されており、使いやすさに対する配慮を感じます。さらに正面に見える障子は引き戸なのに、床には敷居が見えません。これは吊り式としているためで、ハンガーレールを天井に埋め込んでいることがわかります。敷居がないので、床はスムーズにつながっており、つまづくこともないでしょう。
三和土から玄関ホールまで、それなりの高さがあるので、段差をつなぐための式台があります。加えて、横にベンチも設置されており、使いやすさに対する配慮を感じます。さらに正面に見える障子は引き戸なのに、床には敷居が見えません。これは吊り式としているためで、ハンガーレールを天井に埋め込んでいることがわかります。敷居がないので、床はスムーズにつながっており、つまづくこともないでしょう。
ホールの絶妙なカラーバランスに注目
全体的にシンプルな印象の玄関ホール。天井まで広がる高い建具を使っていることや、建具枠をつけていないことが、すっきりとしたシンプルな印象の理由です。面白いのは正面の壁をブラックにして天井の傾斜を強調しているところ。加えて、赤のベンチもフォーカル・ポイントとなっており、黒い傾斜天井と引き立てあっています。
全体的にシンプルな印象の玄関ホール。天井まで広がる高い建具を使っていることや、建具枠をつけていないことが、すっきりとしたシンプルな印象の理由です。面白いのは正面の壁をブラックにして天井の傾斜を強調しているところ。加えて、赤のベンチもフォーカル・ポイントとなっており、黒い傾斜天井と引き立てあっています。
自然とのつながりを意識させるデザイン
玄関の外には木立と木陰が見えています。玄関ドアは緑色にし、ホールは天井と壁全体を木材で貼っているので、まるで外の木々と室内空間がつながっているかのような気分がします。
玄関の外には木立と木陰が見えています。玄関ドアは緑色にし、ホールは天井と壁全体を木材で貼っているので、まるで外の木々と室内空間がつながっているかのような気分がします。
和風モダンな玄関
正面のホールと三和土との段差は低く、上がり框も床とフラットに納められていて、さりげなくシンプルな仕上げとなっています。さらに窓の外に見えるデッキがガラス越しに見えているので、広く感じます。左側に見える建具のガラリ(ルーバー)と右側のベンチ、袖壁の円柱が和のテイストを醸しだしています。
正面のホールと三和土との段差は低く、上がり框も床とフラットに納められていて、さりげなくシンプルな仕上げとなっています。さらに窓の外に見えるデッキがガラス越しに見えているので、広く感じます。左側に見える建具のガラリ(ルーバー)と右側のベンチ、袖壁の円柱が和のテイストを醸しだしています。
人をもてなす和風玄関
玄関に入ると、上がり口には囲炉裏があって、すぐに腰がかけられるようになっており、玄関全体がそのままおもてなしの空間になっています。
玄関に入ると、上がり口には囲炉裏があって、すぐに腰がかけられるようになっており、玄関全体がそのままおもてなしの空間になっています。
枠や見切りの類を使わない、潔い美しさ
通常の玄関で必ず目にする入口の枠や上がり框、そして巾木、天井の見切りといった細かなディテールが、この玄関には一切見当たりません。そしてホールに見える飾りスペースも、あえて質感を消してシンプルに仕上げています。
通常の玄関で必ず目にする入口の枠や上がり框、そして巾木、天井の見切りといった細かなディテールが、この玄関には一切見当たりません。そしてホールに見える飾りスペースも、あえて質感を消してシンプルに仕上げています。
雪見障子越しに外の光を楽しむ
雪見障子は、通常は室内から庭を眺めるためのものですが、こちらは三和土から和室が見えるようにしています。
雪見障子は、通常は室内から庭を眺めるためのものですが、こちらは三和土から和室が見えるようにしています。
ホワイトでまとめた開放感あふれる玄関
玄関とホールの段差も少なく、土間のタイルも床へと続いており、さらに大きなFIXサッシからは同じくホワイト基調の中庭が見えるなど、すべてが一体となっていることで開放感が伝わってきます。
玄関とホールの段差も少なく、土間のタイルも床へと続いており、さらに大きなFIXサッシからは同じくホワイト基調の中庭が見えるなど、すべてが一体となっていることで開放感が伝わってきます。
玄関をギャラリーのような空間に
お気に入りの額入りの絵を自由な位置に飾るためのピクチャーレールを天井部分に設えています。まるでアートギャラリーに入ったかのような玄関です。
お気に入りの額入りの絵を自由な位置に飾るためのピクチャーレールを天井部分に設えています。まるでアートギャラリーに入ったかのような玄関です。
大きな引き戸が印象的
こちらの玄関を見たときに、引き戸の大きさに思わず圧倒されてしまいました。左に見える古材を使った大きな収納もこの引き戸あってこそのバランスですね。
こちらの玄関を見たときに、引き戸の大きさに思わず圧倒されてしまいました。左に見える古材を使った大きな収納もこの引き戸あってこそのバランスですね。
おすすめの記事
その他のスペースの記事
土間は万能空間
日本の伝統的な住まいでは、「土間」は玄関、炊事場、裏口、通路など、さまざまな空間で利用されてきました。その使い勝手のよさから、最近は一戸建て、マンションを問わず、新しい形で活用されています。現代の住まいに取り入れられた事例から、「土間」の万能性を改めてとらえ直します。
続きを読む
片付け
家じゅうのタオルやシーツをすっきり収納。リネンクローゼットのすすめ
バスまわりやベッドまわりのリネン、ストックも含めてどこにしまっていますか? 点在させるのではなく1ヶ所にまとめる、リネン専用の収納庫があると便利です。
続きを読む
エクステリア
玄関ドアはどう選ぶ?その種類と素材、性能
文/荒木康史
玄関を見れば、そこに住まう人の人となりが分かると言われています。住まいの顔となる大切な玄関ドアにはどのようなものがあるのか、ご紹介しましょう。
続きを読む
片付け・収納・家事
共働き家族のための、家事シェアできる住まいの作り方【玄関~リビング篇】
物が集まりやすい場所ほど自然と片付くシステムを取り入れて。家事の負担を減らし、空間の印象を底上げする方法をご紹介します。
続きを読む
エクステリア
家の「顔」ともいえる、玄関アプローチの設計ポイント
文/舩村佳織
室内設備よりも後回しにしてしまいがちなアプローチ。どんな点に注意して検討すればよいか、具体例を用いてご紹介します。
続きを読む
家への第一歩である「玄関」をどう見せるかという事は、非常に興味深いテーマであり、この記事を読んでアイデアの幅を広げる事ができました。
株式会社 ファイン様
コメントありがとうございます。特に引き戸の納めを吊り式とすることで
従来型のデザインから大きく変化していったと思っています。