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Houzzツアー:クリーンでシンプルなスカンジナビアスタイルのリノベーション
パリのアパルトマンを、白をベースにしたスカンジナビア・スタイルにリノベーション。すがすがしいセンスは、日本の住宅にも取り入れられそうです。
Christine Gaspard
2015年9月1日
アパルトマン全体に感じられるエレガンスは、白と淡い色の木を基調にした、デザインのシンプルさにある。落ち着いていて無駄がなく、繊細だ。
かつての輝きに魅せられ、パリの古いアパルトマンを購入したアメリカ人一家は、すぐに建築家のアロン・カシャさんとベッツィー・カシャさんにリノベーションを依頼した。「施主からはスカンジナビアスタイルへのリノベーションを、と依頼を受けました」とアロンさんは振り返る。「色は白、広いスペース、自然光がたっぷり入る空間という希望だったので、実現するためできる限りの工夫をしました。モダンに改装することとクラシックな内装を生かすこと、両者のバランスをうまくとる方法を探りました」
アロンさんとベッツィーさんはまず全体の間取りを一新し、それから床と天井を白に塗り替え、細部に手を加えていった。「美しいアパルトマンというのは細部の積み重ねからできています」とアロンさん。「最初に見た瞬間には特に気づかなかったり、なぜ美しいのかわからなかったりします。でも細部が美しいからこそなんです」
かつての輝きに魅せられ、パリの古いアパルトマンを購入したアメリカ人一家は、すぐに建築家のアロン・カシャさんとベッツィー・カシャさんにリノベーションを依頼した。「施主からはスカンジナビアスタイルへのリノベーションを、と依頼を受けました」とアロンさんは振り返る。「色は白、広いスペース、自然光がたっぷり入る空間という希望だったので、実現するためできる限りの工夫をしました。モダンに改装することとクラシックな内装を生かすこと、両者のバランスをうまくとる方法を探りました」
アロンさんとベッツィーさんはまず全体の間取りを一新し、それから床と天井を白に塗り替え、細部に手を加えていった。「美しいアパルトマンというのは細部の積み重ねからできています」とアロンさん。「最初に見た瞬間には特に気づかなかったり、なぜ美しいのかわからなかったりします。でも細部が美しいからこそなんです」
どんなHouzz?
居住者:3人家族
所在地:フランス、パリ
竣工:2012年(リノベーション)
規模:55平方メートル、隣接する5平方メートルの寝室
設計:アロン・カシャさんとベッツィー・カシャさん(A+B Kasha Designs)
予算:1平方メートルあたり3000ユーロ(約41万円)
トリビア:「寝室と浴室を結ぶ通路をつくり換えようとしたのですが、耐力壁の梁に小さな穴が開いていて水が浸み、傷んでいてできませんでした。おそらく穴は100年前からずっとあったのだと思います」(アロンさん談)
「空間全体を白にするのはどうだろう、と不安に思う必要はありません。白でもいくつかのトーンを取り入れて深みを出せます。この部屋も、壁と天井、パネリングで3種類の白を使っています」とアロンさんは説明する。
居住者:3人家族
所在地:フランス、パリ
竣工:2012年(リノベーション)
規模:55平方メートル、隣接する5平方メートルの寝室
設計:アロン・カシャさんとベッツィー・カシャさん(A+B Kasha Designs)
予算:1平方メートルあたり3000ユーロ(約41万円)
トリビア:「寝室と浴室を結ぶ通路をつくり換えようとしたのですが、耐力壁の梁に小さな穴が開いていて水が浸み、傷んでいてできませんでした。おそらく穴は100年前からずっとあったのだと思います」(アロンさん談)
「空間全体を白にするのはどうだろう、と不安に思う必要はありません。白でもいくつかのトーンを取り入れて深みを出せます。この部屋も、壁と天井、パネリングで3種類の白を使っています」とアロンさんは説明する。
建物自体は趣きがあったが、アパルトマンは当初「かなりひどい状態だった」とアロンさん。魅力あるディテールはみな傷んでいて、何度も塗り重ねた塗料の下に隠れていた。コーニス(天井と壁の境の蛇腹部分)もその例で、アロンさんとベッツィーさんはこれを修復した。新しくオーナーになった施主は、古い建物の精神をよみがえらせたいと願っていたからだ。「過去と現在をつなぐ新たな要素が必要でした。それから、ペーパーで磨きをかけ、色を塗り直していきました」新しい色はもちろん、今回のリノベーションのテーマカラーである白だ。
フランスの食を愛する施主夫妻は、質のよい食材を扱うパリの店をまわるのが好きだ。そのため、機能的でひととおりの機器をそろえたキッチンは必須だった。ダイニングとひと続きの完全にオープンな空間になるため、小さくまとめ、かつセンスのよいキッチンにしたかった。完成したダイニングキッチンは全体を白でまとめ、奥行きは3メートルしかない。冷蔵庫と換気扇は白いキッチンユニットに収め、部屋全体のすっきりとした美しさを損なわないよう考慮した。
装飾デザインの面では、北欧デザインのインテリアショップ〈Scandinavia Design〉で見つけたサーリネンの白いテーブルと淡い色合いの木のチェアを合わせ、スカンジナビアスタイルを感じさせる。
装飾デザインの面では、北欧デザインのインテリアショップ〈Scandinavia Design〉で見つけたサーリネンの白いテーブルと淡い色合いの木のチェアを合わせ、スカンジナビアスタイルを感じさせる。
壁に組み込んだユニットシェルフは、シンプルなラインと1950年代風のスカンジナビアスタイルが特徴だ。全体を白で統一し、リビングの中にあるダイニングスペースにニュアンスを加えている。背の高いシェルフには陶磁器を並べて見せ、機能の面でも活用している。
ディスプレイしないものは下のカップボードに収納。「私も妻も、こうしたものを並べて見せるのが好きなんです。家具まわりに明るさが出ますから」とアロンさん。
ディスプレイしないものは下のカップボードに収納。「私も妻も、こうしたものを並べて見せるのが好きなんです。家具まわりに明るさが出ますから」とアロンさん。
施主がディスプレイするために選んだ陶磁器類は、白いものを基本に、シェルフ同様シンプルなアイテムばかり。スカンジナビアスタイルで統一したいという意向を反映したチョイスだ。
ダイニングからリビングは直接つながっている。リビングには、ル・コルビュジェの青いアームチェアや、グレーのソファ、オレンジのクッションなど、さまざまな色がある。リビングは活気ある楽しげな社交スペースといった雰囲気で、パリの街で冒険を楽しんだ後、家族3人が集まって一緒に過ごす場所だ。
「元の床はかなり反りが出ていましたし、床板材も劣化していたので、全部つくり直しました」とアロンさんは説明する。「床を新しく入れ、上にヘリンボーンの板材を敷きました。通常、床板は古いものを使う方が好きなのですが、今回は新しくしてクリーンな感じを出しました」
水性ニスを使い、新しいオークの床板はごく明るい色に抑え、施主が希望するイメージにふさわしい仕上がりが実現した。
「元の床はかなり反りが出ていましたし、床板材も劣化していたので、全部つくり直しました」とアロンさんは説明する。「床を新しく入れ、上にヘリンボーンの板材を敷きました。通常、床板は古いものを使う方が好きなのですが、今回は新しくしてクリーンな感じを出しました」
水性ニスを使い、新しいオークの床板はごく明るい色に抑え、施主が希望するイメージにふさわしい仕上がりが実現した。
マスターベッドルームは、デリケートで居心地のいい小さなコクーン(繭)をイメージしたそう。部屋の装飾はシンプルにし、壁に三段のシェルフを設けた。ファブリックは、ベッド、カーテン共にリネンをベースにまとめている。「ヘッドボードにもリネンを使ってあり、キャラバンのベッドリネンとマッチしています」とアロンさんは話す。寝室は心地よい空間に仕上がり、お気に入りの本を読んだり、ゆったりと朝の時間を過ごしたりするのにぴったりだ。
施主夫妻の娘のためにつくられた小さなベッドルームは、以前はバスルームだったスペース。アパルトマンに隣接していて、サービスドアでつながっている。床板は白で塗装し、同じく白い壁と家具類とあわせ、小さな部屋が大きく感じられる。
「娘さんはまだ14歳でしたが、しっかり自分のセンスがあって、どんな部屋にしたいかというアイデアを持っていました」とアランさんは振り返る。「小さな机と、ベッドの下に収納、壁に沿って取り付けた棚がほしい、と話してくれました。とてもいいアイデアだと思い、実際に形にするために取り掛かりました」
カスタムメイドのベッドの下には、引き出しが3つ収められている。ぴったり合うものがみつからなかったため、マットレスもあつらえた。壁につくりつけた机は、大きなテーブルを半分にしたものだ。もう半分はマスターベッドルームにあり、親子がそれぞれの部屋に机を持っている。
「娘さんはまだ14歳でしたが、しっかり自分のセンスがあって、どんな部屋にしたいかというアイデアを持っていました」とアランさんは振り返る。「小さな机と、ベッドの下に収納、壁に沿って取り付けた棚がほしい、と話してくれました。とてもいいアイデアだと思い、実際に形にするために取り掛かりました」
カスタムメイドのベッドの下には、引き出しが3つ収められている。ぴったり合うものがみつからなかったため、マットレスもあつらえた。壁につくりつけた机は、大きなテーブルを半分にしたものだ。もう半分はマスターベッドルームにあり、親子がそれぞれの部屋に机を持っている。
キッチンだったスペースはバスルームに改装した。奥の扉は娘さんの部屋に通じている。新しい間取りでは、親子がそれぞれの部屋からバスルームにアクセスできる。他のスペース同様、バスルームも白を基調にし、機能性も高い。
「床などの木造部分を入れ替え、二重ガラスも新たに設置しましたが、歴史ある要素は残すようにしました」設計を手がけた2人はそう話す。
入口と廊下の部分はわずかな広さしかないが、靴を脱ぎコートを掛けるスペースは欲しかった。そこで壁際に黒いスツールを置き、壁にはイームズのハンガーラック〈ハングイットオール〉の黒を取り付けた。
アパルトマンは間取りを完全に変更し、よりオープンで、広く感じられる空間として生まれ変わった。リビングルームの位置だけは変わらないが、リノベーションにより、キッチン兼ダイニングとひと続きのスペースになっている。
教えてHouzz:
パリのアパルトマンのような部屋はお好きですか? コメント欄でご意見やご感想をお聞かせください。
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