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収納庫、そしてギャラリーとして。個性を語る壁面収納のヒント
壁は大きな収納スペース。収納のための空間として、また趣味のコレクションや家族の記念品を展示するギャラリーとして壁面を機能的に美しく使いましょう。
Yoko Ogino
2015年7月29日
インテリアショップオーナー。建築士の資格を持ち住宅及び庭のプラン、デザインまで手掛る。英国での生活体験から奥行のある文化や暮らしに感銘を受け帰国後イギリスのライフスタイルを提案するショップをオープン。英国のインテリアスタイルの中でも特にイングリッシュカントリーに共感し現在は緑豊かな鎌倉山でスローなライフスタイルを提案しています。
インテリアショップオーナー。建築士の資格を持ち住宅及び庭のプラン、デザインまで手掛る。英国での生活体験から奥行のある文化や暮らしに感銘を受け帰国後イギリスのライフスタイルを提案するショップをオープン... もっと見る
お部屋の中で床から天井までのスペースを持つ壁は、モノを見せたりしまったりするために最適な「収納庫」、そしてキャラクターを表現するインテリアのキャンバスになります。収納上手な人は、モノのテイストのそろえ方や色合わせが得意です。これからご紹介するシーンをご覧いただけば、どれも気持ちよくモノが納まり、壁が一枚の絵のように整えられていることに気づかれるでしょう。収納の域を超え、お部屋のフォーカルポイントになっているのです。
アクセントウォール兼収納庫に
壁面いっぱいに大きな棚をつくり、本や雑貨の収納庫に。棚の奥行きはわずか25㎝から30㎝ほどでしょうか。上部の棚には本やコレクションなどをディスプレイし、下段の収納庫が整理整頓の役割を担っています。このアイデアは日本の家でもすぐに取り入れられそうです。たとえばマンションの梁下の壁面を違う色にペイントして棚をつけたり、梁の高さに合わせたオープン棚を設置すれば、お部屋のイメージがぐっと変わると思います。グレーのペイントを背景にした見せる収納により、住み手のライフスタイルが垣間見え、キャラクターたっぷりのインテリアを実現しています。
壁面いっぱいに大きな棚をつくり、本や雑貨の収納庫に。棚の奥行きはわずか25㎝から30㎝ほどでしょうか。上部の棚には本やコレクションなどをディスプレイし、下段の収納庫が整理整頓の役割を担っています。このアイデアは日本の家でもすぐに取り入れられそうです。たとえばマンションの梁下の壁面を違う色にペイントして棚をつけたり、梁の高さに合わせたオープン棚を設置すれば、お部屋のイメージがぐっと変わると思います。グレーのペイントを背景にした見せる収納により、住み手のライフスタイルが垣間見え、キャラクターたっぷりのインテリアを実現しています。
テーマ色を決める
こちらの部屋にも、壁一面を使った書庫がありますが、その隣の壁は小さなオープン棚や絵など、対照的にのびのびとしたディスプレイが中心です。そのいずれも、基調色はブルーと白。窓から海が見える立地にあるため、海を意識してスタイリングされているのです。書庫の中の本の背表紙に至るまで、ブルーを中心にまとめられています。このように壁面ディスプレイを含めたテーマ色を決めると、部屋全体にとけこんだ印象がつくれます。
こちらの部屋にも、壁一面を使った書庫がありますが、その隣の壁は小さなオープン棚や絵など、対照的にのびのびとしたディスプレイが中心です。そのいずれも、基調色はブルーと白。窓から海が見える立地にあるため、海を意識してスタイリングされているのです。書庫の中の本の背表紙に至るまで、ブルーを中心にまとめられています。このように壁面ディスプレイを含めたテーマ色を決めると、部屋全体にとけこんだ印象がつくれます。
基本のシンメトリー配置の応用
マントルピースのサイドに収納棚を設けるレイアウトはよく見かける形ですが、こちらのインテリアがユニークなのは、マントルピースの上部に扉付きのクローゼットをつくり、同じ素材と色で両サイドにシンメトリーにオープン棚を配置しているところです。上に窓があることで閉塞感がなく軽やかですが、同時に収納スペースが限られるため、基本のレイアウトを守ったうえで、通常は絵を飾ったりする位置も収納にしたのでしょうか。クラシックで整然とした印象ながら、空間に合わせた工夫が感じられます。
マントルピースのサイドに収納棚を設けるレイアウトはよく見かける形ですが、こちらのインテリアがユニークなのは、マントルピースの上部に扉付きのクローゼットをつくり、同じ素材と色で両サイドにシンメトリーにオープン棚を配置しているところです。上に窓があることで閉塞感がなく軽やかですが、同時に収納スペースが限られるため、基本のレイアウトを守ったうえで、通常は絵を飾ったりする位置も収納にしたのでしょうか。クラシックで整然とした印象ながら、空間に合わせた工夫が感じられます。
「抜け感」も大切
このヴァーモントの小さなコテージでも、壁面いっぱいに書庫を作っています。上に少しだけあけた空間のおかげで、小さな家の中で大きな存在感のある棚が重さや圧迫感なく、他の部屋とのつながりも感じさせるのびのびとした印象になっています。収納スペースを最大限に確保しつつも、小さな家だからこそのワクワクするような楽しさを表現しています。
このヴァーモントの小さなコテージでも、壁面いっぱいに書庫を作っています。上に少しだけあけた空間のおかげで、小さな家の中で大きな存在感のある棚が重さや圧迫感なく、他の部屋とのつながりも感じさせるのびのびとした印象になっています。収納スペースを最大限に確保しつつも、小さな家だからこそのワクワクするような楽しさを表現しています。
窓のある壁の収納
窓のある壁の収納の作例をいくつかお見せしましょう。壁面に奥行き30cmのニッチ棚をつくり、その上部に部屋の換気とアクセントを兼ねて内倒し窓をつけたダイニングルーム。高窓は安定した光をお部屋に落とすので、モノがきれいに見える効果があります。
窓のある壁の収納の作例をいくつかお見せしましょう。壁面に奥行き30cmのニッチ棚をつくり、その上部に部屋の換気とアクセントを兼ねて内倒し窓をつけたダイニングルーム。高窓は安定した光をお部屋に落とすので、モノがきれいに見える効果があります。
このコンパクトなキッチンの壁には、必要なモノだけを並べるシンプルなオープン棚があり、棚の下部の小さな3連窓には、目隠し用のフレームが立てかけられています。一般的なカーテンやシェードではなく、このように画材用のキャンバスに布を貼って外部との目隠しにするアイデアにより、壁にとけこんだ印象になりました。
統一感のあるギャラリーウォール
たくさんのフレームだけをシンプルな棚に集めて飾り、壁がギャラリーに変身。壁面の色に合わせ、フレームと絵は無彩色を選んでいます。そのため壁全体がひとつの印象になり、視線を集める効果を上げています。壁にフレームを飾るときは、大きさや向きに気を配り、上下のボリュームを考えてバランスよく収めましょう。
たくさんのフレームだけをシンプルな棚に集めて飾り、壁がギャラリーに変身。壁面の色に合わせ、フレームと絵は無彩色を選んでいます。そのため壁全体がひとつの印象になり、視線を集める効果を上げています。壁にフレームを飾るときは、大きさや向きに気を配り、上下のボリュームを考えてバランスよく収めましょう。
個性的な棚なら潔くそれだけで
コンテンポラリーなインテリアにぴったりの曲線の棚。機能とデザインが一体となり、部屋のフォーカルポイントになっています。家具を低めに配置しているため、天井がより高く見え、白い壁を這い上がる棚の動きがいっそう強調されています。斬新なデザインの棚ひとつで、白い壁を個性的に有効に利用しているよい例ですね。
コンテンポラリーなインテリアにぴったりの曲線の棚。機能とデザインが一体となり、部屋のフォーカルポイントになっています。家具を低めに配置しているため、天井がより高く見え、白い壁を這い上がる棚の動きがいっそう強調されています。斬新なデザインの棚ひとつで、白い壁を個性的に有効に利用しているよい例ですね。
実用品もインテリアのアクセント
壁面いっぱいに収納された薪は、必需品であると同時に、オブジェにもなっています。シンプルな壁との対比が、ユニークな収納のアイデアです。薪の木口の模様が壁の中に収まり、スタイリッシュな部屋にナチュラルなぬくもり感を出しています。
壁面いっぱいに収納された薪は、必需品であると同時に、オブジェにもなっています。シンプルな壁との対比が、ユニークな収納のアイデアです。薪の木口の模様が壁の中に収まり、スタイリッシュな部屋にナチュラルなぬくもり感を出しています。
壁面の使い方によってインテリアのスタイルが決まり、住み手の個性が語られます。壁を大きなキャンバスに見立て、絵を描くように思うままに工夫をしてみてはいかがでしょうか。最初はお気に入りの絵を掛けてみる小さな一歩から始め、ゆくゆくはアクセントウォールや壁一面の収納棚をプランするなど、こうした変化を楽しむことが、暮らしをいっそう豊かにしてくれます。
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